CM制作が表す時代性、そして逆行

CM制作が表す時代性、そして逆行

CMは映り変わるものである。

CMを見る人々が時代に合わせて変わる以上、CM制作も基本的に今の時代に合わせたものになるのが普通である。

このため、過去のCMをまとめて見てみれば、時代の推移を映像で見ていくこともおおよそ可能である。

しかし、その時々の時代性をただ追っていくことは、果たしてCM本来の目的である広告・宣伝のために本当に良いことなのだろうか。

たしかに時流に合った映像は素直に受け入れられやすく、時事ネタによりキャッチーな印象を与えやすい。

他方、いつまでも同じような映像では「時代遅れ」となるとネガティブな印象を与えるが、映像内容を極力変えないように努力しているCMシリーズは「伝統」となる。

また、明確な意図を以て過去の映像技術などを使うのならばそれは合理的な選択であり、「レトロフューチャー」というよりポジティブな印象に転化することも可能である。

CM制作もまた映像のプロが行う仕事である以上、時代を追うことだけに固執せず、目的のために真に合った手法を選びとることこそ、本当のプロと言えるだろう。

ただ時代に合わせただけのCMとして埋没してしまえば、CM本来の目的を遂げることはできないのだから。

CM制作とストーリー・キャラクター作り

今や商品宣伝のCMでも、ただ商品の長所や内容をアピールするだけでは大きな宣伝効果が望めない時代である。

このため、ストーリーやキャラクターといったバックボーンを用意し、それらに商品を絡めるといった手法がしばしば用いられる。

そして、その際に重要になるのがCM制作の現場である。

TVにしろラジオにしろ、用意されたストーリーが活かされるのは主にCMの中であるが、商品だけでなくストーリーやキャラクターの魅力も十全に引き出す必要がある。

特に完全オリジナルのストーリーを構築する場合、既存のアニメ作品やゲーム作品とコラボレーションしてキャラクターを借り受ける場合以上に、CMでの見せ方がストーリーの魅力、ひいてはそれによって引き出される宣伝効果を左右する。

このような状況下において、CM制作においてはアニメ・漫画的表現やCG技術の導入など、ストーリーを活かすためには可能な限りの映像表現の選択肢を持つべきだが、1人で全てを行うのは難しい。

得意分野の異なる映像のプロ同士が結託し、共同作業にあたるのが理想と言える。

WebメディアとCM制作

Web上で動画を扱う技術が発展したことで、CM制作もWeb上での展開という新たな状況に踏み込んだ。

長くても1分が尺の限界であるTVCMと異なり、Webでは映像に割ける時間の制約が比較的緩い。

また、TVCMでは時期を超えて切り替えていく必要のある、複数の映像に跨ってのCM展開を一気に進行させることができ、過去の展開を振りかえることも可能である。

このため、商品紹介などの内容を短時間に埋め込む必要がない。

反面、このような長時間に渡るWebCM展開においては、単なる商品紹介を超えた1つの映像コンテンツとしての完成度が要求される。

故にCM制作にあたってもTVCMと同じ手法では上手く行かず、Webの性質を理解した映像のプロが必要になる。

CM制作の現場

そしてTVCMもWeb上でのCMに続く展開が要求されることになる昨今では、TVとWebのCM制作は連携を取る必要がある。

可能であれば同一のスタッフにより、両方のCM制作を手掛けられることが理想と言えるだろう。