CM制作とユニバーサルデザイン

CM制作とユニバーサルデザイン

CMは基本的に相手を選ばず提供されるものである。

そして受け取った相手が障害者でないという決まりもない。

もちろん、耳の不自由な方が音以外の要素のないラジオにおけるCMを聞いたりすることはないのだが、音と映像が同時に流れるTVCMにおいては、視覚と聴覚いずれかが不自由でも見る機会は十分に有り得る。

このため、CM制作段階で映像・音どちらかでしか情報を受け取れない内容を構成してしまうと、障害者の方へはCMの告知効果が激減する。

一度、音量をミュートにする、あるいは目を瞑ってTVCMを流してみると理解できるだろう。

このような問題を解消するには、CM制作にもユニバーサルデザインを導入する必要がある。

対応としては字幕放送の利用やアナウンスを入れることで映像と音で同内容を伝えるのが基本となるが、CM内容全般において実践するとCMとしての創作性やストーリー展開などを妨げてしまうことがある。

だからこそ、実際のCM制作の現場では、ユニバーサルデザインを意識した万人向けの構成と、CMとしての効果やアピールを重視した構成とで常にバランス取りをする苦労が影ながら行われているのである。

生コマーシャルのCM制作

CM制作の中でも珍しいもの、それが生コマーシャルの制作。

事前に完成されたCMを放映したり掲載するという通常のCMと異なり、番組放送中の空間で番組パーソナリティがリアルタイムに口頭やフリップによる告知を行うものである。

TVやラジオの生放送番組と同様に撮り直しが効かないので、CM制作側で行えるのは脚本を作り、映像や音響を最適な状態にセッティングするまでで。

その準備にしても生コマーシャルとTVCMでは明確な違いがあるため、同じ準備をしては上手くいかない。

たとえば、生コマーシャルは番組の枠を崩さず宣伝に移行するので、コマーシャル前の番組の内容やノリを活かすべきである。

また、凝った映像表現などの導入は難しいため、CM制作の段階で告知する内容をシンプル・明確にしないと、担当パーソナリティがいくら頑張っても内容が伝わらない事態に陥る。

さらに生放送に準じる状態である以上、アクシデントが発生する可能性もあるが、その際にパーソナリティが話術で方向修正できるような展開をある程度想定しなければならない。

かように要求されるセンスが通常と異なる生コマーシャルだが、ラジオCMでは生コマーシャルが今でも健在である。

通常のCMと生コマーシャル両方の制作を担当して、はじめてCM制作のプロとして大勢したと言えるのではないだろうか。